………羽瀬くん、まだ帰らないのかな。


ちらりと視線を向けてみたが、当の本人はスマホに夢中。

ずっとスマホいじってるけど何してるんだろう。


こういうところも羽瀬くんのミステリアス要素のひとつなんだろうな。


「じゃあ、羽瀬くん。また明日ね」


無言で教室を出るわけにもいかず、もう一度羽瀬くんの名前を呼んでみた。

けれど、


……何も言ってこない。


無視?ていうか聞こえてない?

さっきは話してくれたから無視ってことはないと思いたいけど………。

こっちを見向きもしないせいで私が独り言を言ったみたいで恥ずかしい。


まぁ、いいか。


悩んでも仕方ない。

そう思い、廊下へと向かった。