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 さて、二人に見捨てられ、もとい残された私は、というと岡先生を見上げた。

「なんだ?」
「いえ、意外だと思ったんです」
「シュークリームがか?」
「それもありますが……」

 別に男の人が甘いものを食べても不思議には思わない。むしろ、好感を覚える方である。だから余計に意外だった。が、ここで言っているのは、そっちではない。

「芳口先生の尻拭いを、率先してやっていることが、です」
「あぁ、そっちか。まぁ初対面の一ノ瀬……いや、ややこしいから栞って呼ばせてもらうけど、そっちからしたら、確かに変に見えるかもな」

 お姉ちゃんのこともあるから、湊さんや園子夫人同様、私は何も言わずに受け入れる。

「湊とは、さっきも言ったように悪友なんだよ。それも幼稚園の頃から」
「えっ。失礼ですけど、芳口先生と岡先生はお幾つなんですか?」
「なんだ。一ノ瀬……ってこっちは姉の方な。聞いていなかったのかよ」
「今日初めて芳口先生の存在を知ったので」

 目の前で岡先生が、盛大なため息を吐いた。

 うん。聞いた時は私も同じ心境だったので、よぉぉぉぉく分かります。