ある日、私は轢き逃げ事故に遭い、とある病院に入院することになった。それもとても大きな病院に。
病室の入口には【一ノ瀬 栞】と私の名前が書かれたプレートが挿し込まれている。
「だからあれほど言ったのに! 夜、出歩く時は気をつけなさいって」
白いナースウェアを着た姉、一ノ瀬琴美が、まるで母のような口調で私を咎める。ベッドの上の私は、というとそれどころではなかった。
「お姉ちゃん。私もこんな状態になっているんだから、さすがに反省するよ。逆に何でしないと思うの?」
首にコルセットをして、左足は包帯でぐるぐる巻き状態。加えて全身がまだ痛い。正直、生きていたのが嘘のようだった。
事故からまる二日経った現在。
私はその間、意識のない状態で運ばれ、そのまま手術を受けたんだそうだ。目が覚めてから状況を聞いた私は、頭を整理するだけで精一杯だった。
「まぁまぁ、その辺にしておいてあげなさいな。栞さんは一晩、路上に放置されていたのだから、姉である貴女が労ってあげなくてはどうするの?」
「院長夫人。すみません、ご迷惑をおかけしまして」
ベッドの脇にある椅子に、姉と並んで座っているのは、私を助けてくれた老齢な女性であり、入院先の病院の院長夫人だった。そして姉はここ、芳口病院の看護師をしている。
病室の入口には【一ノ瀬 栞】と私の名前が書かれたプレートが挿し込まれている。
「だからあれほど言ったのに! 夜、出歩く時は気をつけなさいって」
白いナースウェアを着た姉、一ノ瀬琴美が、まるで母のような口調で私を咎める。ベッドの上の私は、というとそれどころではなかった。
「お姉ちゃん。私もこんな状態になっているんだから、さすがに反省するよ。逆に何でしないと思うの?」
首にコルセットをして、左足は包帯でぐるぐる巻き状態。加えて全身がまだ痛い。正直、生きていたのが嘘のようだった。
事故からまる二日経った現在。
私はその間、意識のない状態で運ばれ、そのまま手術を受けたんだそうだ。目が覚めてから状況を聞いた私は、頭を整理するだけで精一杯だった。
「まぁまぁ、その辺にしておいてあげなさいな。栞さんは一晩、路上に放置されていたのだから、姉である貴女が労ってあげなくてはどうするの?」
「院長夫人。すみません、ご迷惑をおかけしまして」
ベッドの脇にある椅子に、姉と並んで座っているのは、私を助けてくれた老齢な女性であり、入院先の病院の院長夫人だった。そして姉はここ、芳口病院の看護師をしている。