「はあ?ただのアホだろ」



つづいて悪態をついてくるのが、弟のはーちゃんこと、葉月くん。


はーちゃんは素直じゃないし不器用で難しい性格をしているけれど、根は優しいということ私は知っている。


くしゃっとした軽いくせ毛な黒髪は、なんとなく猫のような印象を持つ。

そんな彼もまた、学校では女の子に人気だ。


兄弟といっても、結局はみんな同い年なんだけれど…。



「そんなことないよ。ジュース飲むにも一生懸命、ヒナのかわいいとこ」


「…ゲロ甘ぇ…。おまえほんと、言ってて恥ずかしくないのかよ」


「ぜんぜん?あ、今日ちょっと前髪切ってるよね?すごい似合ってる、かわいい」



なんの躊躇いなく、私の前髪に触ってくるゆーくん。

しかしそれだけで終わらず、意味ありげに微笑んでから手のひらは頬を撫でて、そうしてようやく離れるのだ。