「ん。入って」



とくに私の説明はどうでもよかったらしい。

まず迎えてくれたゆーくんに誘導されるがまま、部屋のなかへ案内される。


ベッドに腰かけていたはーちゃんは、どこかいつも以上にツンッとした顔をしていた。


そしてゆーくんは椅子に座りなおす。

私といえば……とりあえずカーペットの上になぜか正座。



「もっ、もうすぐ2年生になるね…!」



なんだろう……、この重すぎる空気は。

とっさに思いついた世間話でも、とはやってみたものの………むりだ諦めよう。


静寂のなか、ジュースをひとくち。


ゴクンッと、緊張からか思ったより喉が鳴った。



「……ふっ、かわい」



最初に頬を和らげたのは双子のお兄さんである、ゆーくんこと結月くん。


ゆーくんはサラサラストレートな茶髪をなびかせる、学校では女の子たちにとっての王子様だ。

いつだって柔らかく優しい雰囲気を持っているから、敵をぜったいに作らないで有名だった。