「じゃあ、抜け駆けはナシだよ葉月」


「…わかってるけど、早い者勝ちではあるよな」


「……へえ。兄貴と戦う気?少しは譲れよ」


「たかが数分違いで兄貴とか、ウザくね」


「悪いけどお前よりは俺のほうがぜったい上手だから。優しくできるし、何より泣かせない」


「性癖が歪んでるお前なんだから、結局は泣かせるオチでしかないと思うけどな。おれはこう見えても常識は持ってるから」



あの……、

お願いですから私を挟んで兄弟喧嘩はやめてください……。


私はふたりが────大好きだから。



「で、鈴木はどうなったの?」


「ええっと、私にとってのいちばんはやっぱりゆーくんとはーちゃんだなって……思ったの」


「あーー……、じゃあまあ、円満解決、みたいな?」


「そうなるの……かな?」



そしてお友達に報告した翌日。

彼女はイケメン双子にサンドイッチされる私に理解ある女の子だ。


私が最終的に下した決断にどこか腑に落ちない表情をしながらも、移動教室へと向かいながらうなずいてはくれた。