彼の形のよすぎる唇が、私の同じ場所にどんどん近づいてくる。

それをしてしまったならどんな気持ちになるだろう……なんて、そんなことさえ想像してしまった。



「───…今は俺のターンなんだけど?」



ピタリと、ゆーくんの動きは止まる。

私の口元、背後からの手によって塞がれていた。


ずっと黙っていたもうひとりの堪忍袋の緒が切れてしまったのか、私たちの唇が合わさることを妨げてきたのは、はーちゃんの手。



「お前はヒナの初キスマーク奪ったんだから、つぎは俺じゃない?」


「……ここだけは無理」


「無理ってなに?」


「…無理っつったら無理なんだよ」



バチバチバチと、聞こえる火花音。

ふたりにこんな空気感が流れることはもしかすると初めて……かもしれない。


言うなればそれまでずっと横並びだった双子が、初めて向かい合った瞬間だった。