双子といえど、兄弟。

兄と弟には変わりないのだから、ゆーくんの低い声を聞いてはーちゃんは押し黙った。


私の前にしゃがんだゆーくん。


ニコッと笑って、まぶたに浮かんだ涙をそっと拭ってくれた。



「だいすき」


「……え…」


「俺はね、ヒナが大好きだよ」



泣かせてごめんね。
怖がらせてごめん。

でも男って、ヒナが思ってるより危ない生き物なんだよ───。


ひとつひとつ丁寧に教えてくれるゆーくん。



「…結月、単純にそれ狂ってる奴のセリフにしか聞こえねーわ。見方によってはただのサイコパス。DV男が優しくする典型パターン」


「え?そんなつもりないし、俺はぜったい暴力なんか奮わないから。むしろ今たくさんヒナを泣かせてたのは葉月じゃん」


「いや、なんか違うんだよな。おれでもふつーに引いてる。それを嬉しいって思う女はメンヘラくらいだろ」


「は?俺が言うとそういうふうに伝わるの?てか、俺のほうこそお前にドン引きなんだけど。からかうつもりが本気で欲情してどーすんの。ダサ」


「っ、し、してねえわ!!」