「あ…っ、や、」


「…んだよその声。そんなの教えてねーけど」



なにかに耐えている吐息が、なんとか自分の頼りない理性をどうにか動かそうとしていた。


もしかしてはーちゃん、私のカラダ、もっと触りたいって思ってる……?

そんなことを言ったなら、きっと彼は激しさを増してしまう。



「……ヒナ、」


「っ!」



はーちゃんが私の名前を呼ぶことは、あまりない。

だからこそ呼ばれたときは嬉しくて、こそばゆくなる。


息が荒くなっていっているのは私もで、腰をくねらせたり足を動かすほど、はーちゃんは小刻みに詰まらせたような呼吸をする。



「…もう限界」



そのとき、とうとう椅子から立ち上がったのはゆーくんだった。

小さく震える私の前に来ると、はーちゃんに言う。



「それくらいにしといてあげよう、葉月。俺たちが嫌われたら元も子もないから」


「……止まりたくねーんだけど」


「それはさすがに俺が無理やりにでも止めるよ」