すると耳元。

はーちゃんの吐息が鼓膜をとろとろに溶かしてしまうくらい、広がった。



「その鈍感だけはどうにかしねーと、近いうち噛んでまで分からせるからな」


「っ!ひゃ……っ」



噛んだわけじゃなく、ぬるりと、熱い舌なのか歯なのかが、私の耳に触れた。

たったそれだけで全身がありえないくらい熱をまとってはくらくらと、全神経の血がうごめいているのが分かる。



「わっ、私が鈴木くんを好きになっちゃダメなの…?」


「だめ」


「ど、どうしてっ」


「………お前はおれのだから」


「ちがう。“俺たち”ね、葉月」



そうだ、ひとりじゃなかった。

彼らは双子だったんだと、やっと思い出す。