「うん。実家にいるよりは、ずっといいよ。
いとことも仲良いしね。
それで、居候させてもらう代わりにいとこがオーナーをしてるこの喫茶店で、バイトしてるんだ。
いとこにはそんなこと気にしなくていいって言われたんだけどね」
「そうだったんだ」
グラスに入っていた氷がカランと溶けた。
「あ、ごめん。俺が話してたから飲めなかったでしょ?溶けないうちに食べて」
「いただきます」
スプーンでアイスを掬った。
一口口に入れると、バニラアイスの甘さとメロンソーダの甘さが口に広がった。
「美味しい」
「よかった」
天月君が柔らかい笑みを浮かべた。
「私、天宮君とこんなに話したの初めてかも」
「そうだね」
学校では一人でいることが多く、あまり喋る方ではないため、私もなかなか声をかけることができなかった。
「でも、一年の時、一回話したことあったよね」
「そうだっけ?」