指先で光る玉となった涙の(しずく)に、イチがフッと息を吹きかけると、空中に飛ばされたそれが、見る間に半透明な龍の形を成した。

「では、また後ほど」

言うなり消え失せた口うるさい従者を見届け、虎太郎は呆然とその場にたたずむ瞳子に声をかける。

「瞳子。高いところは得意か?」