両側から暑苦しいほどの温もりが、寄せられる。
───虎太郎の、口にはだせない過去を知る二人は、自分が萩原家に行くことの意味を知っているからこそ、気づかぬ素振りを通すのだ。

わざと乱暴に、彼らを振り払ってみせる。

「うるせぇっ、二人ともオレに引っ付くな!」
「……あ、トーコ」
「え」
「うふふ。やっぱり若は、すぐに騙されますねー」
「ホンっトにコタは、純粋で可愛いなぁー!」

またしてもからかわれたのだと知れても。
それが二人の優しさであることを、虎太郎は理解している。