直後、ネズミの口からは人語ではなく、ネズミ語とも言うべき声が発せられた。

鳴き声に近いが、それとはまた、別の響き。

「チュッ、チューッ!」

ネズミの前足から、先ほどの巻物が放られる。

くるくると宙を舞い、重力に従い地に落ちた瞬間。
巻物が広がり、辺り一面にまばゆい光を放った。

───景色が、一変する。

山のなか、と思っていたそこは、鉛色の砂地が埋めつくす、松林のなか、だった……。