「───ハッ、なるほどのぅ、物は言いようということか。なんじは血の繋がりはなくとも尊臣(たかおみ)そっくりじゃのう」

(じーさんと似てるとか、ある意味すげぇ不本意なんだが)

ひそかに胸中でぼやきつつも、極力 顔には出さぬよう気をつけ、セキはわずかに面を伏せる。

「……祖父と懇意にしておられたことは、当人からも聞き及んでおります。こちらも」

言ってセキは、脇に置いた“神逐(かむや)らいの(つるぎ)”を両手に掲げてみせる。

「カカ様のご配慮があったこと───“神獣”である私の手に必ず渡すようにと、現世(うつしよ)に私を下賜(くだ)すことの条件にされたとか。
なれば、こちらはカカ様にお納めすべきでしょうか?」

神獣(じぶん)”らの脅威である剣を【無効化するために】同族である“神獣(セキ)”を『人の世界』へと【売った】のだ。

セキの厭味に気づいたらしく、カカこと(こう)の口がへの字に曲がる。その目は閉じられてはいるが、彼には室内の状況もセキや他の者の様子も【()えている】。

「ほぅ……それがなんじの言い分───我が問いに対する答えか。
なんじを無下に扱った報いを為せ、と」