この流れでは訊きにくいが、『治癒と再生』をもってしても助けられない命もあるのか。はたまた真名においての取り決めのような“禁忌”でも存在するのか。

神妙にうなずいた瞳子に対し、ハッとしたように咲耶が口もとを覆う。ごめん、と、告げて微笑みを浮かべてみせた。

「瞳子さんの聞きたいことから外れちゃったね。
そうだな……対人関係は手探りだけど、でもね、これだけは言えるかな」

言って、かしこまったように座り直し、咲耶は瞳子を見つめる。

「“花嫁”と“神獣”は生涯を支え合う『伴侶』で……お互いに足りないものを補い合う存在なのかなって、思う。
“花嫁”の召喚基準がそうなってるって、ある人から昔聞いたことがあるけど……瞳子さんとセキくんの場合は、少し違うんだよね?」
「……うん」

その点が、咲耶と瞳子の決定的な差だ。
咲耶は白い“神獣”のために選ばれ()ばれた者だろうが、瞳子は──。

(私は、セキのために喚ばれてはいない……)

まるで瞳子の胸の内を読んだように、咲耶は首を振ってみせた。

「それ、心配しなくても大丈夫だよ? コッチに来た理由より、“神獣”自身が選ぶことに意味があるみたいだから」
「え?」