心のうちで茶化さずにはいられないほど、セキの気持ちが、嬉しい。
改めて瞳子は、自分がセキを好きになったのが必然に思えた。

「……良かった。瞳子さんもセキくんが好きなんだね」
「えっ! 私って、そんなに分かりやすい?」

目を細め、微笑ましいといわんばかりに咲耶に言われ、思わず両手で顔を覆ってしまう。
そんな瞳子の反応に、くすっと笑い、咲耶が目を伏せた。

「……なんかね、私、親戚のオバちゃんみたいにセキくんのこと、心配してたから」

ポツリともらされた言葉ののち、瞳子が咲耶から聞いた話によると。
咲耶自身は、それほど直接的にセキとの関わりはなかったらしいのだが、セキ───虎太郎(こたろう)の祖父や大伯母にあたる人物から、彼の特殊な事情を聞いていたそうだ。

「だから、少しでもセキくんの力になれればいいなって思って、ここに来たの」
「少しとか、そんなレベルじゃないと思うけど! 咲耶さんて、謙虚な人なんだね。もっと偉そうにしててもいいんじゃない?」
「うーん、でも、私が扱う“神力(しんりき)”は和彰の力の代行に過ぎないし」

困ったように笑う咲耶に、瞳子はずっと気になっていたことを尋ねた。