『あなたが、この姿の僕を受け入れてくれたのは前進ですね』

狼の鼻先が、瞳子の顔に近づくと、瞳子の鼻の頭に軽く触れる。

『あなたは、僕の“花嫁”。
そう遠くない未来に、あなたの身も心も、僕のものにしてみせます』

冷たい感触と共に告げられたのは、瞳子の意思など眼中にない、身勝手な束縛宣言であった。