身も心も僕のものにする、と。
白狼が放った宣言が、瞳子の脳裏によみがえり、思わず背筋を震わせる。

「離してっ」
「瞳子さん? 僕は……」

瞳子が叫び、白狼がとまどったように何かを告げかけた、その時。

退()け、白い“神獣”よ』

かすれた低い声音が、瞳子の耳に落ちてきたのであった──。