「お願い?」
「申し出、とも言えますが」

そのイチの表情を、瞳子はすでに昨日見ていた。何かを企んでいるだろう者の、顔。

「あんた、まさか……」
「瞳子サマだって、このままで良いとは思ってらっしゃいませんよね?」

これは断りづらいヤツだ、と、瞳子は直感で気づく。なぜならそれは、瞳子自身も望んでいることに他ならないからであった。