(えっ、コレ、どういう対応したら、正解なワケ?)

内心、冷や汗ものだが、ひとまず客人としての態度をとろうと遠慮をしてみせたが、これもあっけなく切り捨てられた。

(私ひょっとして……セキの愛人───愛妾(あいしょう)認定されてる?)

もはや、いたたまれなさも手伝って、二の句が継げない。

「俺も、お前の所へ行こうと思っていた。いろいろ説明が後回しになって、すまなかったな。
少し……話が長くなるが、聞いてくれるか?」

立ち尽くす瞳子に対し、あっけらかんとした物言いをするセキに、ようやくこの場を訪れた目的を思いだす。

「……そうね。いろいろと話のすり合わせをしておかないと、アンタの立場も悪くなるだろうしね」

居心地の悪さを抱えながらも、セキと向かい合う形で腰を下ろした。
するとセキは、思いもよらない言葉を聞いたかのように、目をしばたたかせる。

「俺の立場って……瞳子は、そんなこと考えてくれてたのか?」

「いや、だって、ここアンタの実家でしょう? 私が下手な態度とったら、アンタに迷惑がかかると思って、それで」