色でいったら、純白。


ほのかな狂気をおぼえるほど濁りのない愛に、私の全部が呑み込まれそうになったとき


どこからか澄んだ風が一筋。


溶け合うように触れていたふたりの体に割って入ってきた。


羽生先輩が眉を寄せて首だけを動かす。
そのあからさまな不満顔がめずらしくて、おもわず見つめてしまった。



「扉…閉めたのに」



頭上でぼそりと呟かれた言葉に反応するみたく、風を迎え入れた張本人である扉が、ギィ…と鈍く鳴いた。


私を閉じ込める2本の腕が緩まったのを感じ、今だと逃げ出す。