密着していた体が離されると、ただ見つめ合った。


羽生先輩からは、私なんかが近づいてはいけないような洗練さが漂っていて、ぞわりと毛が逆立つ。


これはなんだ。恐怖?


私の変化を少しも見逃さない目の前の男は、瞳を細めてふたたび距離を詰めてくる。



「せんぱ…」


「怯えてるの?」


「ち、ちが…んぅ」



傾けられた唇が私の首筋に当てられた。
軽く吸われ、いま一度、強く吸われる。


どうしてこんなことをするのだろう。
わからなかった。
わからないソレが、いやに甘美で。