眼前には優しくて綺麗な人。


窓から注がれるオレンジ色の陽を背景に、キラキラと儚く存在している空間がとても似合っていて。


やっぱり羽生先輩は天使なのかもしれない。


見とれていれば


まるでシーンを一枚一枚丁寧に切り取ったかのように、静かな瞬間が訪れて


大きな体に、ふんわりと抱きしめられていた。



「は…にゅう、せんぱい」



反応するのにどれくらいかかっただろう。
掠れた自分の声が空気の膜をわずかに揺らした。


背中に腰に、隙間なく私を閉じ込める2本の腕に力が入れられる。


心地の良い匂いと体温。


優しい──天使。