「僕も西洋美術については明るくないから分からないけど…すごく、幸せそうだね」
「月並みですね」
「またそういうこと言うー」
「月並みですが、私もそう思います」
「……」
「出会うべくして出会ったんだろうな。
この天使と男性は」
なんの変哲もない、ただ思ったことを呟いただけなのに、理由もなく瞼の下が沁みた。
私自身の言葉が教会の真白い壁に跳ね返って心臓へと返ってきたのだろうか。
じくじくと腹部の傷が痛んだ。
「死んだあとにこんな美しいものを見られるなんて。皮肉ですが感慨深いですね。一瞬でも生きていて良か─」
「永遠ちゃん」
呼ばれたと同時に、肩を掴まれてくるんと体を反転させられる。