歩いているうちに建物へたどりついた。



「教会だね」

「教会ですね」



白くて、綺麗で、神秘的。
こんなに近くで見たのは初めてだ。
初めてなのに、陳腐な感想しか出てこないのが情けない。


にしても、この山に囲まれた田園風景にぽつんと教会ひとつ。
だなんて奇妙な組み合わせだ。


あの世という場所には、和だの洋だのうるさく言う人がいないんだろう。


自由に、安らかに。
現世で苦しみを味わってきた者が、もう苦しまなくていいように。


都合のいい解釈を頭の中で流しながら、足を踏み入れた。