「先輩、失礼します」 「え?」 手首の袖を伸ばして、羽生先輩の目尻を拭った。 こんなもので申し訳ないが、これしかないのだから許してほしい。 「泣かないでください。どうしたらいいか分からなくなる」 「え、あ…永遠ちゃ…」 「私がなにかしてしまったのでしょうか?それなら謝ります。だから…」 どうか、泣かないで。 湿っていくセーラー服の紺色。 すると、大きなてのひらが私の手を制止させた。 きゅっと力を入れられる。