「あの…これ」


「うん?」


「誰もいないのに…いったいどうして」



出来たてのかけ蕎麦を指さす。


どこにもいない店主。置かれた蕎麦。


いくらあの世だからって意味不明すぎる…



「さぁ、分からない。永遠ちゃんがお腹空いたって言ったから出てきてくれたんじゃないかな?」


「なに言ってるんですか」


「まぁまぁ細かいことは気にしないで食べなよ。せっかくのお蕎麦だよ」



さすがに焦れったく思ったのか、羽生先輩は私の手を掴んでほぼ強制的に椅子へと座らせた。