「あ、ちょっと」



私が止めようとしても届かず
「かけ蕎麦二丁ください」とずいぶん身勝手な声だけが聞こえてくる。


またそうやって…



「永遠ちゃん、早くこっちおいでよ」



楽しげに私を誘う羽生先輩。


注文をしたからには品が出されてしまう。
出されたからには食べなければならない。


………もういいや、お金はあとから何とかしよう。


ヤケクソとはこういうことをいうのだろう。
ひとつ大きくため息をついて、暖簾をくぐった。