「あなたは死んでいい人じゃないでしょう」
なぜ、死んでしまったのだ。
優しくて、温かなあなたが。
気づけば睨めつけていた。
羽生先輩はそんな私に息を飲んで、目を閉じる。
「僕はね、僕自身が納得して死んだんだ。
だからなんの後悔もしていないよ」
「私は納得できません。遺された羽生先輩を愛していた人たちも同じでしょう」
「許してよ。どうしようもなかったんだ」
「いいえ許しません。自己中心的すぎる」
「そんなこと言われても、もう死んでしまったし。取り返しはつかないよ」
「…最低ですね。呆れました」
握り締めていた拳が震えた。