藍ちゃんは最初、顔が整っていて、優しい子だなというイメージしかなかった。

 誰にでも優しく疑わずに接するから、もっと、疑ったほうがいいのにと危なっかしいイメージまであった。

 だけど、ある言葉を境目に見方が一瞬で変わった。

 僕が少し愚痴(ぐち)を言うぐらいのつもりで、藍ちゃんに自分の話を言った。

 僕はなんていう話を聞かせているんだと、やめようと思ったら、藍ちゃんが思ってもみなかったことを言ってきた。



 「白夜さん、”ギャップ”です!かわいい人がかっこいいことをやってはいけないなんて誰が言ったんですか?かわいい人がかっこいいことをやると、失望するって誰が言ったんですか?」



 確かに......。

 僕は驚きすぎて、なにも言うことができなかった。

 そのくらい彼女の言葉には説得力があって、そうだと思わせる力があった。

 その瞬間、僕は自分の気持ちに気づいた。



 ___僕は藍ちゃんが好きだ。



 藍ちゃんのたった一言に自分のすべてが肯定された気がして、嬉しくて仕方がなかった。

 そして、そのたった一言に救われた。

 本当に、どうしようもないくらいに好きだ。