「一つだけ......お願いがあるんだ。いいかな?」



 白夜がそう、深刻な面持ちで話しかけてきたのは配信が終わって、藍さんが帰った頃だった。

 配信中に藍さんと白夜がなにか話しているな、とは思っていたけれど......。



 前、藍さんにリーダーの話を相談して、新しい発想をくれたときは本当に彼女が輝いて見えた。

 そして、思った。



 ___僕、藍さんが好きだ。



 恋心に気づいて、自分にそんな感情があったことに驚いた。

 恋なんて一生無縁だと思っていたからか、その衝撃はとても大きかった。


 そんなことがあったから、白夜が藍さんと話していたことに嫉妬と思われる感情を抱いてしまった。



 「僕......今流行っている、あのかっこいい『Snow』って曲があったでしょ?それを......その、出してみたいんだ」



 僕は思ってもみなかった白夜の提案に驚いてしまった。

 白夜はかわいい系キャラで定着しており、かっこいい曲などはやっているところを見たことがない。

 そして、僕はこれからもそういう曲はやらないと勝手に思っていた。

 どちらかというと、かっこいい系の曲は朝火や海斗がやっているイメージがあったから。