楠木藍、昨日、とんでもない秘密を知ってしまいました。

 神宮寺朝火先輩をふくめ、この学校にはsilentという、国民的アイドルグループがいること。

 こんな秘密を知ってしまった私はもちろん、自分から他言はしないけれど、守っていける自信がない......。

 ただただ、資料を渡しに行っただけのつもりだったのに、なんでこんなことになってしまったんだろう......。

 このまえ感じた、神宮寺先輩への違和感もきっと、silentのメンバーで知っていたからなんだと思う。

 先生は知っていたのかな......いや、きっと知らなかったんだろう。

 私はこの学校にいる間、ずっとこの秘密を抱えなきゃいけないんだ。

 かなり、大変なことになってしまったっ......。



 「藍ちゃん、おはよう」



 一歌ちゃんが挨拶をしてくれたけれど、悶々と考えてしまっていた私は、気づかなかった。



 「藍ちゃん?どうかした?」



 「い、一歌ちゃんっ、おはよう!」



 さすがにこの秘密は一歌ちゃんといえど、話せない。

 きっと、silentの人たちはばれたくなさそうにしていたし、私なんかが話したら、怒られちゃうよね......。

 この秘密を共有することになっちゃったのは意図的ではないんだし。