「っ.......!」



 「そんな私って、最低だと、思いま____あ、朝火さん!?」



 私が言いかけると、ぎゅっと苦しいぐらいに朝火さんに抱きしめられた。



 「もう、なんで泣いてるかと思ったら、そんなかわいいこと言うなよ.......」



 「へっ?」



 かわいいことなんて、言ってるつもりないんだけどなぁ。

 結構、こっちは真剣に言ってるのに。

 そうやって、怒ろうと顔を上げると___。



 「っ.......!」



 朝火さんが微笑んでいたから、なにも言えなくなってしまった。



 「それって、嫉妬、であってる?」



 「へ?」



 「藍に嫉妬されるとか、なにこれ、夢?」



 「えええっ!?」



 朝火さんが嬉しそうに言ってくれるけど、私は状況についていけていない。

 わ、私が嫉妬?

 まさか____。



 「藍にしてもらうのはすごい、嬉しい」



 「も、もう........忘れてください」



 恥ずかしさにそう言えば、朝火さんは不敵に口の端を持ち上げる。



 「忘れない。一語一句忘れないから」



 「朝火さんっ.......ひどいです」



 「こればかりは藍の願いでも無理かな」



 朝火さんの顔はいたずらめいていたのだった。