うぅ、一歌ちゃんに数学を教えたいけれど、先生は見るからに困っているみたい。

 ここは私がいかないとっ!



 「一歌ちゃん、ちょっと行ってくるから、先にわからない問題を考えておいてくれないかな?すぐ戻って来るから!」



 「わ、わかった!ありがとう!」



 一歌ちゃんが数学の参考書を開くのを横目で見ながら、私は立ち上がる。



 「楠木、ありがとうな。これと、これと、これ。よろしくな」



 「わかりました。文化委員会はどこで活動していますか?」



 聞くと、先生は少し渋い顔になる。



 「音楽室で活動しているんだよなぁ。文化委員のやつらが、なぜか音楽室でやるって言ってきかなくて。」



 「そ、そうなんですか?吹奏楽部じゃあるまいし、音楽室で活動する必要はない気がしますけど......」



 私が言うと、先生は少し唸り、私の方を見た。


 
 「まぁ、とりあえずお願いだ。行ってきてくれ」



 「はい、わかりました」