中にいたのはまぎれもない、藍だった。

 藍もこちらを見て、目を見開いている。



 「藍!?」



 「朝火さん!」



 俺は藍に駆け寄る。



 「どうして、ここにいるんだ?連絡しても、返信が来なかったから、驚いた」



 そういうと、藍はせきを切ったように泣き出す。

 泣きながら、こちらを見上げてくる藍は、申し訳ないけど、すごくかわいい。

 俺は藍の目尻に溜まった、涙をそっと手ですくう。



 「泣くな。いや、俺が泣くななんて言えないか.......とりあえず、落ち着くまで、そばにいてもいいか?」



 「は、はいっ」



 本当に、どうしてこんなことになったのか、わからない。

 だけど、こんなことをした犯人が許せなかった。

 こんなに、藍を泣かせたやつを。