でも、藍が今日この時間に、行く必要があるかということだ。しかも、土曜日に。

 わからないけどな.......藍は蒼葉のときのようになにか理由があるのかもしれないし。

 いないと思うけど、三階も行っておくか.......。

 三階なんて、教室しかないし、行く意味はないかもしれないけどな。

 大体の教室を素通りしながら、あたりを見回していたときだった。



 「朝火さんっ!」



 そんな声が聞こえた気がした。

 一瞬、空耳かと思ったが、確かに聞こえた。

 俺は声が聞こえたほうに引き返す。

 空耳かもしれないけど、おそらくこっちから聞こえた.......!

 ここの教室だ!

 なぜか、この教室は鍵がかかっていた。

 なんでだ......?
 
 そう思いつつ、鍵を開けてから、ドアを勢いよく横に引く。