気づけば俺は、了承していた。

 試験も、必死の勉強で無事、通過。

 あとから考えると、父親は桃園学校に行く利点について、『有名な進学校だから』としきりに話していたが、きっと、俺を追いやりたかったんだと思う。

 俺は昔から、元気で、運動神経もよくて、なんでもできた。

 自分で言うのもおかしいかもしれないけど、本当なのだ。

 よく友達から、『お前はなんでもできていいよな』と言われることが多かった。

 それに比べて、父親はのんびりしていて、運動神経がいいかって聞かれると、悪いほう。

 頭のよさもそこそこだった。

 そんな俺に父親はよく、嫌みを言うことが多かった。

 『お前はなんでもできるからいいよな』。

 そう言われることが多かった。

 きっと、今なら難しい言葉を知っているから、わかる。

 ___父親は俺に”劣等感(れっとうかん)”を抱いていたのではないかと。

 そんな俺の顔を見たくもなくて、寮がある学校に入れたかったんだと思う。

 自意識過剰(じいしきかじょう)かもしれないけど、そんな感じがしていた。