「藍、最近新しい本を出版したんでしょ?」



 「そうなの!忙しいのによく知ってるね」



 「当たり前じゃん、藍の本が好きだもん」



 翔くんには私が作家だということを言っている、数少ない人の一人だ。

 作家だということを教えたからか、翔くんはよく褒めてくれる。



 「じゃあ、最新刊は読んでくれた?」



 「もちろん。最新刊もおもしろかったよ」



 「ありがとう!」



 ふふっ、私の作品を読んでくれる人がいるって嬉しいことなんだなぁ。



 「そういえば......翔くんってsilent、知ってる?」



 単純に気になって聞いてみる。

 すると、翔くんはなぜか怪訝そうに眉をひそめる。



 「なんでそんなことを聞く?」



 「えっ、単純に気になっただけなんだけど」