「藍?ちょっと待っ.......うわぁっ!」



 私がそっとノックすると、先輩の声とともに中からガッシャンという音や、ドーンッという音がまた鳴り響いて、もっと心配になる。

 そして、そのまま、ドアの前で待っていると、先輩がやっと出てきた。



 「だ、大丈夫ですかっ......かなり大きな音が響いていましたけど......」



 「あーごめん。響いちゃってた?迷惑だったよね。ちょっと、部屋の道具を移動させようとしたら、落としちゃって。手首をひねっちゃったみたいなんだよね」



 神宮寺先輩はやってしまったというように、苦笑する。

 見せてもらうと、手首は大きく腫れていて、痛々しかった。



 「せ、先輩っこれは絶対治療したほうがいいですよ.....?」



 「でも、保健室に行っている時間はないから......」



 そういっている間も、先輩は手首の具合を確かめて痛そうに顔をしかめている。

 これは、冷やすべきだ......。

 お母さんが看護師で少しだけ処置の方法を教えてもらったことがある。

 こういう知識は今使うべきだ......!


 
 「じ、神宮寺先輩っ......。私の素人に毛が生えた程度の処置でよかったら、します」