グランプリの表彰が終わりコンテスト前に手紙を書いてあったものが瞬弥くんの口から読まれることになった。
まずは無名な自分を応援してくれたファンの人へのお礼、家族への感謝の気持ち…空手を教えてくれた祖父と毎日お弁当をいれてくれる祖母へのお礼、最後に…
産まれた時から一緒に育ってきた従兄弟の大冴へ、兄弟のように育ち、コンテストに出る時も協力してくれてありがとう…いつか空手がオリンピック競技になった時には今度は自分が全力で応援する、そして、来年の全日本で日本一になる事を願っています、ありがとうございました。
大冴くんは下を向いて震えていた。
泣いてるのがわかったが菜摘は声はかけなかった。
弱みは見せないのはわかっていたから...
瞬弥くんは涙をこらえながら爽やかなイケメンの笑顔を見せて会場からは拍手と声援がしばらく続いたのだった。
大冴くんは落ち着いたのか顔を上げていた。
さっきの番組の感想を撤回すると菜摘に言った。
自分が泣いてしまったからだ…
「ねぇ、50万の賞金にTGCの出演、沖縄旅行4人分、凄いよねー」
「TGCって何だ?」
「ファッションショーよ」