「菜穂?」

「あっ、ごめんね」

「好きだよ」

「…私も」

「もう少し待ってて…なっ」

「わかった、瞬くんも勉強しなきゃダメだよ」

「わかった、じゃあな」

電話を切ると涙が出てくる。

瞬くん…大好きなのに…会いたい

友達に嘘をつける瞬くんは私にも嘘をつくのかな?

信じたいよ、瞬くんのこと…

今の好きも本心だよね…


菜穂は勉強が手につかなくてダイニングでお菓子を作り始めた。

下で音がした菜摘はおりていくと菜穂が無心に卵白を泡立てていた。

「どうしたの?こんな時間に」

「勉強する気になれなくて」

「何かあった?」

菜穂は塾で瞬くんの友達に元カノと言われた事を話した。

「ひどーい、私と間違えてもさ、元カノは言わなくていい情報じゃない?」

菜摘ははっきり言う子だから私の気持ちを言ってくれたような気がして有難かった。

「間違えられるのは仕方ないけどね、元カノはちょっと嫌だった」

「私も言われた事あるけど私は事実だから仕方ないけど菜穂は違うじゃん」

「でも、現状は瞬くんは彼女はいないんだよ、今は…私もさ友達には今だけ別れてるって話してると勝手に思ってたからさ」