一方大冴くんの父親が開く空手教室のお手伝いに来ていた菜摘

去年はおばあさんと大冴くんのお姉さんの真広(まひろ)さんと3人で合宿の料理作りのお手伝いをしたのだが、菜摘はいつも大冴くんのお弁当をいれてくれているおばあさんの味付けが好きで去年も教わった。

今年は何の料理を覚えようかな…

「おはようございます!」

「いらっしゃい、菜摘ちゃん、今年もよろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

今年はおばあさんと菜摘と大冴くんのお母さんの3人で作ることに…

「わぁ、大きくなったね、志温(しおん)くん」

頑張ってハイハイしながらつかまり立ちをしようと必死だった。

「もう、目が離せなくなってね、歩き出したら大変になるわ」

大冴くんのお母さんは片手でひょいと抱き上げて煮込み料理の味付けをし始める。

「すぐ、準備しますね」

菜摘は髪を縛り、エプロンと三角巾をつけて手を洗った。

合宿に来てる子供達に昼食を配る菜摘はしゃがんで子供達とお話したりおにぎりの追加を渡したりと楽しそうに笑っていた。

食事が終わると休憩時間になる。

道場のキッチンで食事をとっていた菜摘は大冴くんに呼ばれた。

「菜摘、ちょっと」

「待って、あとおにぎり1個食べる時間を下さい」

「いいけど…」