「ふーん」

「菜穂、怒ってる?」

「怒るっていうか…怒りの感情はないけど、会えないのが寂しいかな」

「菜穂の事、何とも思ってないならミスターコンに出ることを黙ってるよ、ちゃんと菜穂に理解してもらいたいから話してる」

菜穂はわかったと返事した。

「話は変わるけど夏休みは道場を手伝うことになってるんだ」

大冴くんのお父さんは空手界では有名で講演によく行ったりしている。

指導を頼まれたりするので合宿を開くようになり去年は菜摘はお手伝いに行き、菜穂は1日だけお菓子を持っていったのだ。

「去年より開催日を増やすらしい、菜穂は来る?」

「夏期講習を申し込んでるから8月からは塾なの」

「受験だもんな」

「瞬くんだって(笑)」

そうだったと他人事のように笑っていた。

瞬くんが帰っていくと菜摘にもミスターコンの事を話してみた。

どうやらクラスでも話題にはなっていたらしいが夏休みに入ったのでそこからは知らないと言っていた。

「菜穂は平気?」

「うーん、一応彼女いない設定にするらしくて、その方がやっぱりいいらしんだ」

「それで納得したの?」

「瞬くんて友達を大事にするとこがあるじゃん?」

「あるね〜」

「そういう付き合いを邪魔する彼女って多分嫌がられると思うから待つよ」