「充分な期間を与えられたにも関わらず、今日に至るまで課題を後回しにしてたこいつらが悪いんだ。お前は悪くない」

佐乱先輩…ありがとうございます。

「佐乱先輩は、もう終わらせたんですね」

「あぁ。最初の一週間で早めに終わらせておいたよ。こうなるのが嫌だからな」

と言って、佐乱先輩は三人の先輩達を指差した。

成程。僕もそのタイプですね。

課題が出されたら、出来るだけ早めに終わらせるタイプ。

提出期限ギリギリになって焦るより、余裕を持って終わらせておいた方が良いに決まってますよ。

「そうですか…。佐乱先輩だけはまともなんですね…」

「聞きました?今の。俺達がまともじゃないと言いたいんでしょうか」

あ、済みません弦木先輩…。

つい。本音が。

「ともかく、今日と明日はこんな感じだ。とてもじゃないけど部活は出来ないから、お前も好きなことしてて良いぞ。それこそ宿題やってても良いし」

と、佐乱先輩が言った。

そうか…。そうですね。

料理研究部の活動が…宿題の時間になってしまった。

仕方ない。横で眺めていても、怠惰な先輩達に呆れるだけだし…。

「じゃあ…その、本を読んでても良いですか?」

「どうぞ、お好きに」

「ありがとうございます」

僕は椅子に座って、鞄の中から文庫本を取り出した。

それも、加那芽兄様の書庫にあった本である。

本でも読んで、時間を潰すとしようかな。