早々に店じまいした僕達は、遅くなってしまった昼食を、ゆっくりと摂った。

僕もりんご飴、もらいましたけど美味しいですね。

「はー、食べた食べた…って、まだ口の中がからぁ…」

「す、済みません…。ちょっとした仕返しのつもりで…」

激辛ソース、余程効いたらしい。

「ひでぇよ…」

「お前が小羽根をパシるからだろ…」

「口の中が辛くて死にそう…」

何だか申し訳なくなってきたので、甘いジュースでも買ってこようかな。

…でも、正直もう疲れて、他の屋台まで走る気力と体力が…。

…すると、その横で。

「ぺろっ」

「…萌音、さっきから何舐めてんだ?」

「え?これ」

萌音先輩は、何やら指先をぺろぺろ舐めていた。

何かと思ったら、あんこ。

…抹茶クレープの材料の余りである。

「もう要らないのかなーと思って」

「あ、はい…。それは…まぁ、要りませんけど…」

そういえば、中途半端に材料が残っちゃってるんですよね。

ホットケーキミックスとか…キャラメルソースとか。

これだけが残っててもしょうがない、っていう食材が…。

「これだけ余ってても仕方ないよな…」

あ、ほら李優先輩も僕と同じことを。

「よし。折角だから、余った食材でクレープ作るか」

えっ?

「ほら、俺達、作るばっかりで、自分達では食べてないだろ?」

「そうですけど…」

「余らせて捨てるの勿体ないし。賄いクレープってことで」

それは新しいですね。賄いクレープ…。

「やったぜ。今口の中激辛だから、甘いもの食べたい」

「とは言っても、大した材料は残ってないから、有り合わせになるが…」

「良いんじゃないですか?この際だから、俺達で余り物を消費してしまいましょう」

「あ、じゃあ僕、クレープ生地焼きます…」

と、僕は自ら申し出た。

え?お前疲れてたんじゃなかったのか、って?

確かに疲れてますけど、でもこれで食べ納めかと思うと。

最後にもうひと頑張り、しても良いかなって。