加那芽兄様が去った後。

僕達は、またしても暇になってしまった。

…一枚だけでも焼けたんだから、良かったと思おう。

目標が低過ぎる。

すると。

「…よし、後輩君。パシリだ」

「は?」
 
まほろ部長、今なんて?

「今のうちに、そこら辺の屋台で自分らの昼飯買ってきてくれ」

「…何で…?」

「え?だって暇だから」

そりゃ、まぁ暇ですけど。

「自分、ホルモン焼きそば頼むよ。あとフライドポテトと唐揚げ宜しく」

と言って、まほろ部長から財布を託された。

完全にパシられる流れ。

「ほら、唱君と李優君達も。今のうちに後輩君に頼んどけよ」

「そうですね…。じゃ、俺は焼きとうもろこしとフランクフルトをお願いします」

「萌音、りんご飴食べたいなー。…20本くらい」

20本!?

持ち切れるだろうか…。…そんなに…。

「…分かりましたよ…。…李優先輩はどうします?」

「ごめんな、パシリにして…。…でも、これもまほろの優しさだと思うぞ」

え?パシリが優しさってどういうことです?

「こんな機会でもないと、創立記念祭を回る時間はないからな。ゆっくりしてきてくれ」

「…李優先輩…」

そういうことだったのか。
 
今年初めて創立記念祭に臨む僕が、ゆっくり屋台見物出来るように、気を遣ってくれていると。

「ありがとうございます、まほろ部長」

「え?いや。単に自分で並ぶのが面倒だから頼んだだけだけど」

「…」

…とりあえず、まほろ部長の分のホルモン焼きそばには、激辛ソースをトッピングしてもらっておきますね。