李優先輩が手首を負傷したことにより、僕達は非常に厳しい状況におかれてしまった。

自慢じゃないけど、僕もクレープ生地を綺麗に焼ける自信はまったくない。

いかに僕達が、李優先輩におんぶに抱っこな状態だったかということを思い知る。

そもそもこれが良くなかったんでしょうね。

李優先輩がいなくても、他のメンバーでも対処出来るよう、万全を期しておくべきだったのだ。

…なんて、今更言っても詮無いですが。

しかし、まほろ部長の言うように、諦めるにはまだ早い…かもしれない。

ようは、創立記念祭当日までに、クレープ作りの技術を上達させれば良いのだ。

「…分かりました。僕も、覚悟を決めて頑張ります」

「…!後輩君、君も頑張ってくれるか」

「はい…」

これでも一応、自由研究部の一員なので。

「上手く出来るかは分かりませんが…やるだけやってみます」

「やったぜ!後輩君が手伝ってくれるなら百人力!」

「少なくとも、俺達よりは器用ですもんね」

「萌音も応援するね」

ありがとうございます。

でも、他人事じゃないので。先輩方も頑張ってくださいね。

「済まんな、小羽根…。俺も、当日までに何とか…腱鞘炎が治れば…」

「いえ…李優先輩は無理しないでください」

無理して手を動かして、腱鞘炎が悪化したら大変ですから。

「それより李優先輩は、横から僕に指導してもらえませんか。作り方のコツとか…火加減とか…」

「…分かった。俺も出来ることを手伝うよ」

ありがとうございます。

それじゃ、早速頑張ってみましょう