翌日から、放課後はクレープ屋さんの準備で費やすことになった。





「やっぱりチョコバナナは捨て難いよな!」

「萌音はイチゴが良い」

「イチゴは割高なのでは?」

今日は、肝心なクレープ屋のメニュー決めである。

「あとアレな。ソーセージとチーズとー」

「萌音イチゴのアイスのが良いな」

「抹茶味とかどうです?抹茶は必ず一定層に需要がありますよ」

「それからキャラメルソースな!これは絶対要る」

「萌音はイチゴソースが良いなー」

「あんこも捨て難いですね」

…出るわ出るわ、意見がたくさん。

まとまりのない部活ですね。

「後輩君は何クレープが良い?」

「えっ?」

突然まほろ部長に尋ねられて、虚を突かれてしまった。

僕が好きなクレープ?…それは…。

「…えっと。イチゴブラウニーですかね…」

「マジかよ。後輩君って意外と乙女だな」

ほっといてくださいよ。

自分が聞いたんじゃないですか。

「ってな訳で、チョコバナナとイチゴとイチゴアイスとイチゴソースと、抹茶とあんことキャラメルとイチゴブラウニー、そしてチーズソーセージクレープ、っと…」

まほろ部長は、先程出たメニュー案をさらさらとルーズリーフに記録した。

「どうよ。欲張りクレープメニューって感じだな」

「…お前ら…好き勝手言いたい放題言いやがって」

ずっと黙っていた李優先輩が、怒りを滲ませた声で呟いた。

す、済みません…。
 
「良いか。言うだけじゃ駄目なんだぞ。それを作らなきゃいけないってことを考えろ」

「済みません、李優先輩…」

「いいや、小羽根。お前は悪くない。悪いのはそこの能天気共だ」

李優先輩は、他の先輩達3人を指差した。

「作る手間を考えて物を言え」

「って言われてもなぁ…」

「じゃあ、李優さんは何クレープが良いと思うんですか?」

逆に、作りやすいメニューを教えてください。

「え?それは…えっと…。…イチゴクレープとか?」

唱先輩に聞かれた李優先輩は、少し考えてそう答えた。

結局イチゴなんですか。

「わーい。萌音が好きなヤツだー」

「おい。恋人の意見だけ贔屓するなよ」

「うるせーな。前に作ったのもイチゴクレープなんだよ。萌音にせがまれて…」

今も昔も、イチゴが大好きな萌音先輩である。

イチゴクレープか…。

クレープのメニューには、必ずと言って良いほどある定番メニューですよね。

萌音先輩だけじゃなく、僕も結構好き。

って言うか、大体誰でも、イチゴは好きじゃないですか?