それぞれ、これと思う屋台をメモ用紙に書き。

いざ、抽選の時がやって来た。

…まぁ、この中の一枚は、萌音先輩の書いたクレープ屋なんですけど。

さて、どれが当たりますかね。

僕の案、当たるかな…。

「よーし!それじゃテンション上げて引いてくぞー!」

まほろ部長は、いそいそと箱の前にやって来た。

…の、だが。

いきなり、びくっとして手を止めてしまった。

「…どうしたんですか?」

「…今思い出した。自分、今くじ運めっちゃ悪いんだった…」

「…そうですね」

忘れてなかったんですね。自分のくじ運の悪さを。

「こうなったら、仕方ない…。レディファーストってことで、萌音ちゃん。代わりに頼む」

萌音先輩に選手交代。

「萌音が引いて良いの?」

「良いよ。ガツンと良いヤツ頼むぞ!」

「やったー。任せて」

僕じゃなくて良かった。と、内心思った。

僕だったら、プレッシャーのあまり引けないところでしたよ。

まほろ部長ほどではないけど、自分のくじ運に自信がある訳では無いので。

萌音先輩は、何の躊躇いもなく箱の中に手を突っ込んだ。

「うーん。萌音、クレープ屋さんが良いな〜」

自分の書いたくじを引きたい様子。

「萌音のクレープ屋さん…。…これかな?うーん、違うな…。これかな?」

箱の中であちこち手を動かして、悩んでいるご様子。

違うって分かるんですか?見えてないのに…。

「こっちかな〜…?」

「おい、萌音…。何でも良いから早く決めろよ」

「何でも良くないよぅ。うーん、分かんないや。よし、これにしよーっ…。と、思ったけどこっちにしよう」

あれこれ悩んだ萌音先輩は、ついに選ばれた一枚のくじを引いた。

さて、どれになったでしょう。

僕達の運命や如何に。

「萌音…何だった?どれを引いたんだ?」

「わーい。見て見て李優。萌音のクレープ屋さんだ」

なんと。

萌音先輩が引いたのは、自分で書いたクレープ屋だった。

…本当に引くとは。萌音先輩のくじ運、強くないですか?